住宅ローンが残る家の売却で失敗しないための全知識と流れ

住宅ローンが残っている家を売却できるのかを、不安に思っている方も多いのではないでしょうか。住宅ローン返済中の家の売却手続きは複雑で注意点が多く、知識がないと損をする恐れがあります。

この記事では住宅ローン返済中の家を売却する手順から、オーバーローン・アンダーローン別の対処法、注意点までをわかりやすく解説します。記事を読めば状況に合わせた最適な売却方法がわかり、後悔のない売却を実現可能です。

住宅ローンが残っていても家の売却は可能です。まずは住宅ローン残高と査定額を正確に把握し、完済できるか確認することから始めましょう。

目次

住宅ローンが残っている家を売却する手順

リングノートの上に置かれた白い家の形をした模型と、STEP123と書かれた黄色い付箋メモ。

住宅ローンが残っている家でも適切な手順を踏めば売却できます。売却額で住宅ローンを完済できるかによって、売主に必要な準備や進め方が異なります。住宅ローンが残っている家を売却する手順は以下のとおりです。

  • 住宅ローンの残高を確認する
  • 不動産の査定を依頼する
  • 売却額でローンを完済できるか確認する

住宅ローンの残高を確認する

売却額が住宅ローン残高を上回るか下回るかによって、売却の手続きや方法が異なります。家を売却する際は住宅ローンの残高を正確に把握しておきましょう。住宅ローンの残高を確認する方法は以下のとおりです。

  • 返済予定表
  • 残高証明書
  • インターネットバンキング
  • 金融機関の住宅ローン担当窓口

現在の住宅ローン残高を正確に把握し、売却準備を着実に進めましょう。

不動産の査定を依頼する

「査定報告書」と書かれた黄色い書類の上に置かれた家の模型と、傍らにある電卓とペン。

住宅ローンの残高を把握した後は、家の売却額を知るために不動産会社へ査定を依頼しましょう。1社だけの査定では売却額の妥当性が担保できないため、複数の不動産会社での査定比較がおすすめです。不動産の査定を行う方法には以下の2種類があります。

机上査定
机上査定とは住所や築年数などの基本情報をもとに、おおよその価格を算出する方法です。
訪問査定
訪問査定とは担当者が現地を確認し、家の状態を考慮して価格を算出する方法です。

複数の不動産会社に査定を依頼する場合は、不動産一括査定サイトを活用すると効率的に相場を把握できます。

売却額でローンを完済できるか確認する

不動産の査定額がわかったら、売却額で住宅ローンを完済できるかを確認しましょう。実際に手元に残る金額(手取り額)がローン残高を上回るか否かで、売却の進め方や資金計画が変わります。査定額から仲介手数料や税金などの諸費用を差し引いて手取り額を計算します。

完済可否の判断に関わる2つのローン残高の違いを以下にまとめました。

ローン残高の種類手取り額の状態説明
オーバーローン手取り額がローン残高に届かない不足分を貯金などの自己資金で補う必要がある
アンダーローン手取り額がローン残高を上回る売却額で住宅ローンを完済できる

不動産会社に依頼すれば、売却にかかる諸費用を含めたシミュレーションを行ってもらえるため、明確な手取り額を算出できます。

オーバーローンの家を売却する方法3選

木製のシーソー(天秤)の上に、円マークのブロックと、家の模型、その間に座る二人のミニチュア人形

売却額が住宅ローンの残高を下回る「オーバーローン」の場合でも、不足分を補えば家を売却できます。オーバーローンの家を売却する方法は以下の3つです。

  • 自己資金で補填する
  • 任意売却を行う
  • 住み替えローンを活用する

自己資金で補填する

オーバーローンの家を売却する方法の1つは、自己資金で不足分を補うことです。住宅ローン残高の不足分を自己資金で補う場合は信用情報に影響を与えず、通常の不動産売却と同じ手順で手続きを進められます。オーバーローンの家を売却する際、以下のケースでは自己資金で補填する方法が適しています。

  • 不足額が少ない
  • 貯蓄に余裕がある
  • 親族などから資金援助を受けられる

住宅ローン残高の不足分を自己資金で補う場合は、スムーズに売却できる半面、まとまった現金を準備する必要があります。

任意売却を行う

白い背景に、家の模型と木々の模型、そして「for sale」と書かれた青い看板が立っている

住宅ローンの返済が難しくなった場合に、金融機関の同意を得て家を売却する方法が任意売却です。任意売却は住宅ローンを滞納している、または滞納の可能性があるときに選べる売却方法です。オーバーローンの家を任意売却すると以下のメリットがあります。

  • 市場価格に近い金額で売却できる(競売より高値になりやすい)
  • プライバシーが守られる
  • 引越し費用を確保できる場合がある
  • 金融機関と返済計画を相談しながら進められる

ただし、任意売却に至る過程で生じた住宅ローンの滞納は信用情報に記録が残り、新たなローンの利用が制限される可能性があります。連帯保証人や共有者など関係者全員の同意が必要となるため、任意売却を行うかどうかは慎重に検討しましょう。

住み替えローンを活用する

住み替えローンは住宅ローン残高と新居の購入費用をまとめて借り入れできる住宅ローンです。手元の資金が少なくても住み替えローンを活用すれば、オーバーローンの状態で新しい家に住み替えられます。

住宅ローンの残高が2,500万円で売却額が2,000万円の場合は、500万円が不足となります。3,000万円の新居を購入する場合、新居の購入費用の3,000万円と不足分500万円を合わせた3,500万円を借り入れすることが可能です。ただし、住み替えローンには以下の注意点があります。

  • 審査が厳しく、住み替えローンが通りにくい場合がある
  • 住み替えローンの金利がやや高くなる
  • 取り扱い金融機関が限られている

住み替えローンを利用する際は、返済負担やタイミングの調整が必要です。不動産会社や金融機関と相談しながら、住み替えローンを活用して無理のない計画を立てましょう。
» 家を売って住み替えるなら売り先行・買い先行どっちがおすすめかを解説

【目的別】アンダーローンの家を売却する方法

木製ブロックに一文字ずつ「売」と「却」と書かれており、その隣に白い屋根の家の模型

アンダーローンの家を売却する方法は、売却後の目的によって進め方が異なります。資金状況や生活の都合に合わせて売却方法を選びましょう。アンダーローンの家を売却する方法を「売却のみの場合」と「住み替えの場合」で詳しく解説します。

売却のみの場合

目的が家を売却するのみの場合、売却額が住宅ローンの残高を上回れば完済後に手元にお金を残すことが可能です。以下の計算式でおおよその手元に残る金額を求められます。

売却額−(住宅ローン残高+売却にかかる費用)

売却の方法には「仲介」と「買取」があります。仲介と買取の特徴、それぞれに向いている人を以下表にまとめました。

売却方法特徴向いている人
仲介不動産会社が買主を探して販売する
市場価格に近い金額で売却できる
できるだけ高く売りたい人
売却までに時間の余裕がある人
買取不動産会社が直接買い取る
契約から現金化までが早い
早く確実に売りたい人
引っ越しや資金の都合で家の売却を急ぎたい人

売却によって得たお金は貯蓄や新居の初期費用、投資など自由に使えます。ただし、家の売却で利益が出た場合は、所得税や住民税がかかることがあります。マイホームの売却には3,000万円特別控除などの特例があるため、課税の有無や適用条件などを事前に確認しておきましょう。

住み替えの場合

住み替えを目的として家を売却する場合は、売却と新居の購入のタイミングを事前に決めておく必要があります
売却で得た資金を新居の購入費用に充てれば、新しい住宅ローンの借入額を抑えられます。住み替えを考える場合の2つの売却方法について、以下にまとめました。

売却方法特徴メリットデメリット
売り先行今の家を売却して新しい家を購入する売却金額が確定してから購入できるため資金計画が立てやすい新居が見つかるまで仮住まいが必要になる場合がある
買い先行新しい家を購入してから今の家を売却する引っ越しのタイミングを自分で調整しやすい一時的に旧居と新居のローンが二重になる、またはつなぎ融資などを検討する必要がある

売却と購入を同じ不動産会社に依頼すると、スケジュール調整や手続きがスムーズに進めやすくなります。「売り先行」「買い先行」それぞれで段取りや注意点が異なるため、不動産会社に相談して最適な進め方を提案してもらいましょう。
» 老後の住み替えを始める3つのタイミングと選び方

住宅ローン返済中の家を売却する際の注意事項3選

ノートの上に家の模型と黄色い警告マークのイラストが描かれ、ペンを持っている手

住宅ローンが残っている家を売却する場合は、事前に確認しておくべき注意点があります。売却を進めるために押さえておくべき注意点は、以下のとおりです。

  • 売却にかかる費用を把握する
  • 売却益にかかる税金と特例を理解する
  • 信頼できる不動産会社を選ぶ

売却にかかる費用を把握する

家を売却しても売却額がそのまま手元に残るわけではありません。どのような費用が発生するかを事前に把握しておくことで、売却後の手元に残る資金を正確に見積もれます。住宅ローンが残っている家を売却する際に発生する費用は以下のとおりです。

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 抵当権(※1)抹消登記費用
  • 住宅ローン繰上返済手数料

他にもハウスクリーニング代・測量費・引っ越し費用などの実費がかかる場合もあります。

※1 抵当権とは、住宅ローンを完済するまで家を担保として、金融機関が権利を持つ仕組みです。

売却益にかかる税金と特例を理解する

電卓のキーの上に小さな家の模型があり、奥には三段の階段状の積み木

住宅ローンが残っている家を売却し、利益が出た場合は所得税と住民税がかかることがあるため注意が必要です。売却で得た利益は「譲渡所得」と呼ばれ、家の所有期間によって税率が異なります。家の所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」、5年を超えると「長期譲渡所得」となり、長期の方が税率が低くなります。家を売却した際の譲渡所得を算出する方法は以下のとおりです。

譲渡所得=売却額−(取得費+譲渡費用)

売却による利益がある際は「特別控除や軽減制度(特例)」を利用することで、税金の負担を軽減できます。家を売却する場合に利用できる特例は以下のとおりです。

特例の種類内容
3,000万円の特別控除マイホーム(居住用財産)を売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を差し引ける
軽減税率の特例所有期間が10年を超えるマイホームの場合、税率が低くなる
損益通算・繰越控除の特例売却で損失が出た場合、他の所得から差し引いて税負担を軽減できる

特例を利用するためには家を売却した翌年に確定申告を行う必要があります。

信頼できる不動産会社を選ぶ

住宅ローンが残っている家を売却する際は、信頼できる不動産会社を選びましょう。依頼する不動産会社の実力や販売戦略によって、売却額や成約までの期間は大きく変わります不動産会社を選ぶ際は、査定の根拠や担当者の丁寧さを重視することがおすすめです。

複数の不動産会社に査定を依頼して比較すると、査定額の妥当性や担当者の誠実さが見えてきます。誠実で対応の早い不動産会社を選ぶことで、安心して売却を進められます。

【理由別】住宅ローン返済中の家を売却する際のポイント

黄色い背景の上に、茶色いノートと白いリングノート、「POINT」の文字と電球のイラスト、茶色い家の模型と白いペン

家を売却する理由ごとに押さえるべきポイントが異なります。住宅ローンが残っている家の売却を後悔なく進めるためには、状況に応じた判断が必要です。以下の理由で家を売却する際のポイントについて解説します。

  • 離婚による売却を検討するとき
  • 転勤や引っ越しが必要になったとき
  • 住宅ローンの返済が難しくなったとき

» 不動産売却の理由は価格に影響する?伝える範囲とポイント

離婚による売却を検討するとき

離婚の際、夫婦の共有財産である家は財産分与の対象になります。離婚を理由に家を売却する場合は夫婦間で話し合いが必要です。家の売却をスムーズに進めるために、以下を事前に話し合いましょう。

  • 不動産と住宅ローンの名義
  • 利益の分け方
  • ローン残債の負担割合
  • 売却のタイミング

話し合いがまとまらない場合は専門家に相談が必要です。弁護士や司法書士、ファイナンシャルプランナーなどが、家の名義や財産分与の整理をサポートしてくれます。離婚後の生活に向けて家を売却し、早く現金化したい場合は、不動産会社による「買取」という方法もあります。
» 住宅ローンがある場合の離婚手続きと財産分与の進め方

転勤や引っ越しが必要になったとき

黄色い背景の手前に茶色い家の模型と黒いトラックのシルエット、「引越し」の文字の吹き出しがある

転勤や引っ越しによる家の売却は、限られた期間の中で計画的に進める必要があります。売却の期間に余裕がない場合、まずは家を売却するか賃貸に出すかを早めに決定します。新居の購入費用と現在の住宅ローンが重なる「ダブルローン」のリスクも考慮し、資金計画を立てましょう。

売却期限が迫っている場合は仲介よりも不動産会社による「買取」を利用することで、早く売却手続きが進みます。短期間で家を売却したい場合は、対応が早い不動産会社を選びましょう。
» 転勤時の持ち家はどうする?選択肢別のメリット・デメリット

住宅ローンの返済が難しくなったとき

住宅ローンの返済が難しくなった場合は、まず金融機関に相談し、返済条件の見直しや返済猶予が可能か確認しましょう。金融機関に相談しても住宅ローンの返済が厳しい場合は、不動産会社に相談し、任意売却や買取などの方法を検討します。

任意売却は通常の売却よりも専門的な知識が必要なため、実績のある不動産会社を選ぶことがポイントです。売却後も同じ家に住み続けたい場合は、リースバック(※2)を取り扱う不動産会社に相談すると、家を売却した後も住み続けられます。

※2 リースバックとは、売却後も家を借りる形で住み続けられる仕組みのことです。同じ家に住み続けられるメリットがある一方で、家賃が相場より高くなるなどのデメリットもあります。

住宅ローン返済中の家を売却する際のよくある質問

色違いの4軒の一戸建ての模型の上に、オレンジ、ピンク、紫、緑の疑問符(?)が並んで浮いている

住宅ローンが残っている家を売る際の以下の疑問について説明します。

  • 抵当権抹消のタイミングは?
  • 買い手が見つからない場合は?
  • 売却活動中の住宅ローンの返済は?

抵当権抹消のタイミングは?

抵当権抹消登記の手続きは不動産の売却額を受け取り、買主へ引き渡す「決済・引き渡し日」に行われます。売却額で住宅ローンを完済することで、住宅ローンが残っている家の抵当権を正式に外すことが可能です。

住宅ローンが残っている家の決済・引き渡し日には通常、司法書士が立ち会い、住宅ローンの完済と抵当権抹消の手続きを同時に進めます。抵当権を抹消することで買主は担保のない不動産を受け取り、売主も安心して売却取引を完了できます。

買い手が見つからない場合は?

白い家の模型と小さな木の家の模型、そして家の窓部分を拡大する虫眼鏡

売却活動を続けても住宅ローンが残っている家の買い手が見つからない場合は、価格や販売方法を見直しましょう。住宅ローンが残っている家の買い手が見つからない場合の改善策は以下のとおりです。

  • 売却額の見直し
  • 広告や販売活動の見直し
  • 内覧時の印象改善
  • 不動産会社や契約条件の見直し

改善策を試しても売れない場合は、不動産会社による買取を検討すると、早期に現金化できる可能性があります。

売却活動中の住宅ローンの返済は?

家の売却活動をしている間も住宅ローンの返済は続ける必要があります。家が売れて買主に引き渡すまで、金融機関との住宅ローン契約は継続しているためです。

住宅ローンの返済を止めてしまうと信用情報に記録が残り、今後のローン審査や新居の購入に影響します。住宅ローンの滞納が続くと売却活動中の家を差し押さえられ、競売にかけられるリスクもあるため注意しましょう。

一般的には引き渡し時に受け取る売却額で残りの住宅ローンを一括返済します。売却が完了するまでは住宅ローンの毎月の返済が続くため、売却期間中の資金計画も立てておきましょう。

住宅ローンが残っていても後悔しない売却を実現しよう

白い書類の上に茶色い家の模型が置かれ、書類には「不動産売買契約書」と黒字で書かれている

住宅ローンが残っていても正しい手順を踏めば、後悔のない家の売却は可能です。現在のローン残高や家の価値を把握し、状況に合った売却方法を検討しましょう。

売却額より住宅ローン残高が多い場合でも、自己資金での補填や住み替えローンの利用、任意売却などで売却が可能です。しかし、できるだけ早く現金化したい、手間をかけずに売却を進めたい場合は、不動産会社による「買取」がおすすめです。

買取は住宅ローンが残っている家でも対応できるケースが多いため、まずは不動産会社に相談してみましょう。後悔なく家を売却するためのポイントは、現在の家の価値を知ることにあります。無料査定を利用することで、住宅ローンが残っている家の最適な売却方法を見つけられます。

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