施設に入った親の家を売却する際の理由と手続き・税制優遇の基礎知識

- 親が施設に入った後の実家はどうすれば良い?
- 施設に入った親の家の管理費用や税金が負担になっている
- 家の売却手続きが複雑で何から始めれば良いかわからない
施設に入った親の家は管理の手間や費用がかかるだけでなく、将来の相続トラブルの原因になることもあり、対応に悩む方が多いはずです。
この記事では施設に入った親の家を売却することがおすすめな理由や具体的な手続き、利用できる税制優遇措置について詳しく解説します。記事を読めば、施設に入った親の家の売却に関する不安が解消され、スムーズに手続きを進めることが可能です。
施設に入った親の家を売却すると子ども世代の金銭的な負担を軽減でき、相続トラブルの防止にもつながります。まずは施設に入った親の家の売却について、親の同意を得ることから始めましょう。施設に入った親の家を売却することに不安を抱えている方は、信頼できる不動産会社に相談し、買取を依頼する方法が最も安心で確実です。
施設に入った親の家の売却がおすすめな理由5選

施設に入った親の家は以下の理由から売却することがおすすめです。
- 介護施設の費用を売却代金から捻出できる
- 管理費用や固定資産税が不要になる
- 売却益を資産の再活用に充てられる
- 相続トラブルを未然に防げる
- 施設入所後3年以内の売却で税優遇が受けられる
家族全体の負担軽減と円満な将来を実現するためにも、施設に入った親の家を売却することは有効な選択肢です。
介護施設の費用を売却代金から捻出できる
施設に入った親の家を売却すると、介護施設の費用をまかなう資金を手に入れられます。親の家の売却資金を確保できれば子ども世代の経済的な負担を大きく減らし、将来のお金の不安を軽減することが可能です。親自身も自分の資産で介護施設の費用をまかなえるため、子どもに対する金銭的な負い目を感じることなく新生活を始められます。
有料老人ホームに入る場合、入居一時金や毎月の利用料で数百万円~数千万円のお金がかかる場合があります。公的年金や貯金だけで介護施設の高額な費用を払い続けることは困難です。施設に入った親の家の売却は介護にかかるお金の悩みを和らげる有効な手段です。
管理費用や固定資産税が不要になる

施設に入った親の家を売却すると、所有しているだけで発生する維持費や手間から解放されます。施設に入った親の家を売却することで以下の負担がなくなります。
- 固定資産税・都市計画税
- 修繕費
- 火災保険料・地震保険料
- 水道・電気の基本料金
経済的な負担を将来にわたって軽減できることは、施設に入った親の家を売却する大きなメリットです。
売却益を資産の再活用に充てられる
施設に入った親の家を売却して得たお金は介護費用以外にも、家族の将来のために有効活用できます。施設に入った親の家を現金化することで柔軟に資金を使えます。
施設に入った親の家を売却して得たお金は親の資産であり親の意思や同意が必要です。以下は親の同意のもとで検討できる資産の再活用例です。
- 売却益を資産運用に活用し、将来の備えとして資産を増やす
- 住宅ローンの繰り上げ返済に充て、月々の負担を軽くする
- 子どもや孫の教育資金や結婚資金として役立てる
- 老後資金に充て、将来の経済的な不安を解消する
- より収益性の高い不動産へ買い替えて資産を組み替える
施設に入った親の家の売却益を上手に再活用することで家族全体の経済的な安定につながり、より豊かな生活設計が可能になります。
» 不動産売却の理由は価格に影響する?伝える範囲とポイント
相続トラブルを未然に防げる

親が元気なうちに家を売却することは、将来起こりうる相続トラブルを防ぐうえで有効な手段です。あらかじめ施設に入った親の家を売却し現金化しておくことで、以下のトラブルを避けられます。
- 公平な遺産分割
- 売却資金を分割することで争いを防げます。
- 納税資金の確保
- 相続税や固定資産税の支払い資金を確保できます。
- 共有名義の回避
- 名義が複数になるトラブルを未然に防げます。
- 親の意思の尊重
- 売却の判断を本人の意思に基づいて進められます。
不動産は現金のような分割が難しいため、施設に入った親の家を誰が引き継ぐか、どのように分けるかで家族間の揉め事に発展するケースが多くあります。生前に施設に入った親の家を分けやすい資産に変えておくことは、円満な相続の実現に役立ちます。
施設入所後3年以内の売却で税優遇が受けられる
親が住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに家を売却すると、税優遇が受けられる可能性があります。
施設に入った親の家の売却益には税金がかかりますが「居住用財産の3,000万円特別控除」の制度を使えば、支払う税金を大幅に減らせます。居住用財産の3,000万円特別控除によって、施設に入った親の家の売却益から最大3,000万円までを差し引けるからです。
» 国税庁「マイホームを売ったときの特例」(外部サイト)
施設に入った親の家を売却する際の手続きの流れ

施設に入った親の家を売却する際は、以下の正しい手順を踏むことが重要です。
- 親の同意の確認
- 委任状の準備
- 不動産会社の選定と相談
- 物件の査定と売却価格の設定
- 販売活動と売却契約の締結
親の同意の確認
施設に入った親の家を売却するには、所有者である親本人から同意を得ることが不可欠です。不動産を売却できるのは、原則として所有者本人だけです。本人の意思を確認せずに施設に入った親の家の売却手続きを進めると、後からトラブルに発展する可能性があります。
施設に入った親の家を売却する必要性やメリット・デメリットを丁寧に説明し、以下の点を確認しながら親の納得を得てください。
- 本人の売却意思を確認する
- 書面で同意内容を残す
- 兄弟姉妹など家族間で合意する
親の判断能力に不安を感じる場合は、施設に入った親の家の売却手続きを進める前に弁護士や司法書士へ相談しましょう。親の判断能力が不十分な場合、本人の同意や委任状だけでは有効な売却ができない可能性があります。
委任状の準備

施設に入った親の家の売却について親の同意を得た後は、委任状を準備します。委任状とは親の代わりに代理人(子どもなど)が不動産売却の手続きを進めるために必要な、法的に効力を持つ書類です。親本人が売却手続きに立ち会えない場合、委任状によって代理人に権限を委任する必要があります。
施設に入った親の家に関する委任状を作成する際は、以下の点を押さえておきましょう。
- 親本人が自筆で署名し、実印を押す
- 誰が(代理人)、どの不動産を、どこまで任せるか(委任事項)を具体的に書く
- 委任事項には「売買契約の締結」「代金の受領」「所有権移転登記」を明記する
- 親の印鑑証明書(一般的に発行から3か月以内のもの)と代理人(子)の身分証明書を準備する
不動産会社や司法書士が用意している委任状の雛形を利用すると、記載漏れがなくなるためおすすめです。
不動産会社の選定と相談
施設に入った親の家の売却を成功させるには、信頼できる不動産会社を選ぶことが重要です。不動産会社によって査定額や売却の進め方が異なるため、良いパートナーを見つけることで、より良い条件で安心して売却を進められます。
信頼できる不動産会社を見つけるために、以下のポイントを確認しましょう。
- 売却したい家がある地域での売買実績が豊富か
- 担当者の返事が早く、売り手の状況を理解してくれるか
- 仲介だけでなく買取の選択肢も提案してくれるか
- 売却にかかる費用や税金について丁寧に説明してくれるか
複数の不動産会社に施設に入った親の家の査定を依頼し、査定額や売却の進め方を比較してください。一括査定サイトを利用すれば一度の入力で複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できるため、効率的に不動産会社を探せます。
物件の査定と売却価格の設定

施設に入った親の家の売却を成功させるには物件の価値を正しく把握し、相場に合った売却価格を設定することが大切です。価格が高すぎると施設に入った親の家の買い手が見つからず売れ残りの原因になり、安すぎると本来得られるはずだった利益を失ってしまいます。
複数の不動産会社に施設に入った親の家の査定を依頼し、それぞれの査定額を比較検討する方法がおすすめです。家の査定価格は主に以下の情報をもとに計算されます。
- 近隣の売却実績
- 建物の状態
- 不動産市場の動向
不動産会社から提示される家の査定価格はあくまで売却の目安です。最終的な家の売り出し価格は査定額を参考にしながら不動産会社と相談して決めます。売却活動の状況によっては、途中で施設に入った親の家の売り出し価格を見直すことも考えておきましょう。
» 不動産査定の3つの種類と評価方法をわかりやすく解説
» 家の売却相場を決定する要因と高く売るためのポイントを解説!
販売活動と売却契約の締結
施設に入った親の家の売却価格が決まったら、販売活動と売買契約の締結に進みます。販売活動と売却契約の締結は施設に入った親の家の買い手を見つけ、お互いが納得する形で取引を成立させるための重要な段階です。
施設に入った親の家の販売から契約までの流れは以下のとおりです。
- 販売活動の開始
- 内覧の対応
- 購入申し込みと条件交渉
- 重要事項説明
- 売買契約の締結
販売から契約までのプロセスを不動産会社と協力しながら進めると、施設に入った親の家をスムーズに売却できます。
» 不動産売買契約の流れと注意点をわかりやすく解説!
親の家を売却する際に利用できる税制優遇措置3選

施設に入った親の家を売却する際に利用できる税制優遇措置として、以下の3つを解説します。以下の税制優遇措置を受けるためには確定申告が必要です。
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- マイホーム売却時の軽減税率
- 相続空き家の3,000万円特別控除
居住用財産の3,000万円特別控除
居住用財産の3,000万円特別控除は家を売却した際に出た利益から、最大3,000万円を差し引ける制度です。居住用財産の3,000万円特別控除の適用を受けるには一定の条件を満たす必要があります。主な適用条件は以下のとおりです。
- 親が住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
- 売主である親が、家を主な居住地として利用していたこと
- 売却相手が親子や夫婦など、特別な関係にある人ではないこと
施設に入った親の家を売却した年の前年・前々年に、居住用財産の3,000万円特別控除や他の税金の優遇措置を利用していないことも併せて確認してください。条件を満たせば家の所有期間に関わらず、居住用財産の3,000万円特別控除の特例を利用できます。
» 国税庁「マイホームを売ったときの特例」(外部サイト)
マイホーム売却時の軽減税率

マイホーム売却時の軽減税率の制度を利用すると、施設に入った親の家を売却する際の税負担を大きく減らせます。売却した年の1月1日時点の家や土地の所有期間が10年を超えており一定の条件を満たす場合、特例を使うことが可能です。
マイホーム売却時の軽減税率の特例を使うと、税金がかかる利益のうち6,000万円以下の部分について、税率が通常よりも低く抑えられます。通常の税率とマイホーム売却時の軽減税率の違いは以下のとおりです。
- 通常の税率:20.315%
- 軽減税率:14.21%
マイホーム売却時の軽減税率の特例は、居住用財産の3,000万円特別控除との併用もできます。ただし、マイホーム売却時の軽減税率を使うためには確定申告を行う必要がある点に注意が必要です。
» 国税庁「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」(外部サイト)
相続空き家の3,000万円特別控除
相続空き家の3,000万円特別控除とは相続で受け継いだ空き家を売却した際に、売却で得た利益から最大3,000万円を差し引ける制度です。主な条件は以下のとおりで、条件を満たす場合に、施設に入った親の家に対し相続空き家の3,000万円特別控除が使えます。
- 亡くなった親が1人で住んでいた家であること(要介護認定等を受けて老人ホーム等に入所していた場合で条件を満たすときは適用可能)
- 昭和56年5月31日以前に建てられた家であること
- 相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却すること
- 売却価格が1億円以下であること
相続空き家の3,000万円特別控除と居住用財産の3,000万円特別控除との併用はできません。
» 国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(外部サイト)
» 空き家処分の放置リスクと費用・税制優遇対策
親が認知症の場合の対応策

施設に入った親の認知症が進行すると、本人の判断能力が低下し売却契約が無効になる恐れもあります。後々のトラブルを防ぐためにも、早めに適切な法的手続きを検討しましょう。
施設に入った親の家の売却手続きをスムーズに進めるために、認知症の進行度合いに合わせて以下の対応策を取りましょう。
- 成年後見制度を利用する
- 家族信託を活用する
- 任意代理人を立てる
成年後見制度を利用する
親の判断能力が十分でない場合、成年後見制度を利用して施設に入った親の家を売却する方法があります。成年後見制度は家庭裁判所が選んだ後見人が本人に代わって手続きを進める、国が定めた正式な制度です。
成年後見制度を利用する際は親族などが家庭裁判所に成年後見開始の申立てを行ってください。申立てから後見人が選任されるまでに数か月かかる場合があります。居住用不動産を売却する際は家庭裁判所の許可が別途必要となります。申立てにかかる費用や、後見人へ継続的に支払う報酬が発生する点にも注意が必要です。
本人の判断能力がない状態での不動産売買契約は、法律上無効と判断される恐れがあります。成年後見人が法的な代理人として契約することで、トラブルなく安全に施設に入った親の家の売却を進められます。
家族信託を活用する

家族信託は親の判断能力が十分あるうちに財産の管理を家族に託す制度です。将来、認知症によって親の判断能力が低下してもスムーズに不動産を売却できる有効な対策です。あらかじめ家族信託の契約を結んでおくことで、子が親の受託者として不動産を売却できるようになります。
家族信託は成年後見制度と異なり家庭裁判所の許可を得る必要がないため、施設に入った親の家の売り時を逃さず柔軟に手続きを進められます。施設に入った親の家の売却で得たお金は契約で定めた通り、親の介護費用や生活費に充てることが可能です。
ただし、家族信託の契約内容の作成には専門知識が必要なため、司法書士などの専門家への相談が欠かせません。
任意代理人を立てる
任意代理は親の判断能力が十分あるうちに、不動産売却などの手続きを子どもに任せる方法です。任意代理人は親自身の意思で代理人や任せる内容を自由に決められるため、柔軟な対応ができます。成年後見制度に比べて手続きが簡単で、費用を抑えられる点も任意代理人の大きなメリットです。
任意代理人に不動産売却を任せる場合は委任状を作成します。委任状を提出すると、任意代理人は以下の行為を代理で行うことが可能です。
- 売買契約の締結
- 売却代金の受領
- 所有権移転の登記手続き
信頼性を高めるために委任状は実印を押して印鑑証明書を付け、公証役場で公正証書として作成することがおすすめです。ただし、親の判断能力が低下すると契約が無効になるリスクがあるため、認知症が進行する前に手続きを進める必要があります。
施設に入った親の家は不動産会社への売却がおすすめ

施設に入った親の家を売却すると子ども世代の金銭的な負担を軽減でき、相続トラブルの防止にもつながります。施設に入った親の家の売却は不動産会社に依頼する方法が最も安心で効率的です。個人での施設に入った親の家の売却活動は適正な価格設定や交渉、複雑な契約手続きなど多くの時間と手間がかかるからです。
不動産会社に施設に入った親の家の売却を依頼すれば、査定から販売までをスムーズに任せられ、思わぬトラブルを回避しやすくなります。不動産買取の相談ができる点も、不動産会社に施設に入った親の家の相談をする際のメリットです。専門家である不動産会社への相談が、施設に入った親の家をスムーズに売却する近道となります。
