不動産売却で使える特例5選!節税の仕組みや適用条件【確定申告の流れを解説】

- 自宅を売却したいけど、税金がどれくらいかかるのか不安
- 節税できる特例があると聞いたけど、どれが使えるのか分からない
- 併用できる特例を組み合わせて、少しでも税金を抑えたい
不動産売却では特例を賢く活用することで税負担を大幅に減らせる可能性があります。不動産売却の際に特例の適用条件や併用制限を正しく理解していないと、思わぬ税負担が発生するため注意が必要です。
この記事では不動産売却で使える特例の種類や適用条件、確定申告の流れを解説します。記事を読めば自分に合った特例を見極められ、賢く節税する方法が分かります。
不動産売却の特例を最大限活用するには売却前に適用条件を確認することが重要です。特例の適用条件を理解し、確定申告を適切に行うことで、不動産売却の際に不要な税金を支払わずに済みます。
不動産売却で知っておくべき税金の基本と特例の重要性

不動産売却で発生する税金の計算方法と、特例を活用した場合の節税効果を以下の項目に分けて解説します。
- 不動産売却時にかかる譲渡所得税の仕組み
- 不動産売却で特例を活用した場合の節税効果
不動産売却時にかかる譲渡所得税の仕組み
不動産売却時にかかる譲渡所得税は、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた「利益」に課税されます。譲渡所得税の計算方法は以下のとおりです。
- 譲渡所得 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用
- 課税譲渡所得 = 譲渡所得 − 特別控除額(特例適用時)
- 譲渡所得税 = 課税譲渡所得 × 税率
譲渡所得税に適用される税率は所有期間によって異なります。所得税・住民税・復興特別所得税(2037年まで課税)を合算した税率は以下のとおりです。
- 所有期間が5年以下(短期譲渡所得):39.63%
- 所有期間が5年超(長期譲渡所得):20.315%
取得費が不明な場合や実際の取得費が売却価格の5%相当額を下回る場合は、売却価格の5%相当額を概算取得費として計算できます。譲渡所得の申告は原則として不動産を譲渡した年の翌年2月16日から3月15日までに行います。期限を過ぎると延滞税が発生するため、不動産売却の際は早めに手続きを行いましょう。
不動産売却で特例を活用した場合の節税効果
不動産売却で特例を活用すると税負担を大幅に軽減でき、特例の種類によっては税金がゼロになるケースもあります。不動産売却で特例を活用した場合の節税効果は以下のとおりです。
| 特例の種類 | 節税効果 |
| 居住用財産の3,000万円特別控除 | 譲渡所得から最大3,000万円を控除 |
| 軽減税率の特例(所有10年超) | 課税譲渡所得6,000万円以下の部分の税率を14.21%に軽減(超過分は20.315%) |
| 特定居住用財産の買換え特例 | 譲渡所得の課税を将来に繰り延べ |
| 相続空き家の3,000万円特別控除 | 譲渡所得から最大3,000万円を控除 |
| 譲渡損失の損益通算・繰越控除 | 他の所得と相殺、最大3年間繰越控除 |
特例を活用するには確定申告が不可欠で、適用条件を満たす必要があります。特例の併用制限もあるため、自分のケースで複数を同時に使えるか事前に確認しておきましょう。
不動産売却で使える5つの特例

不動産売却で使える特例は以下の5つです。
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 軽減税率の特例(所有10年超)
- 特定居住用財産の買換え特例
- 相続空き家の3,000万円特別控除
- 譲渡損失の損益通算・繰越控除
居住用財産の3,000万円特別控除
自宅を売却した際に譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例が「居住用財産の3,000万円特別控除」です。居住用財産の3,000万円特別控除は所有期間に関係なく適用でき、譲渡所得が3,000万円以下なら税金がかかりません。
居住用財産の3,000万円特別控除の適用条件は以下のとおりです。
- 自宅として住んでいた家屋や土地を売却すること
- 売却した年の前年および前々年に同特例を受けていないこと
- 親族など特別な関係のない相手に売却すること
居住用財産が夫婦共有名義の場合は、それぞれ3,000万円まで控除できます。住まなくなった日から3年目の年末までに売却すれば居住用財産の3,000万円特別控除を適用可能です。
軽減税率の特例(所有10年超)

所有期間が10年を超える居住用財産を売却した場合、軽減税率の特例を適用できます。軽減税率の特例を活用すると、課税譲渡所得6,000万円以下の部分に対して税率が14.21%に軽減されます。軽減税率の特例の適用条件は以下のとおりです。
- 売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていること
- 売却した年の前年および前々年に同特例を受けていないこと
課税譲渡所得6,000万円を超える部分には通常の税率が適用されます。軽減税率の特例は居住用財産の3,000万円特別控除と併用できるため、税負担を大幅に減らせます。
特定居住用財産の買換え特例
自宅を売却して新たに住宅を購入する場合に適用される特例が「特定居住用財産の買換え特例」です。特定居住用財産の買換え特例の適用条件は以下のとおりです。
- 売却した自宅の所有期間が売却した年の1月1日時点で10年を超えていること
- 売却した自宅の居住期間が10年以上であること
- 売却した年の前年および前々年に同特例を受けていないこと
- 新たに購入する住宅の床面積が50㎡以上であること
- 売却価格が1億円以下であること
特定居住用財産の買換え特例は譲渡所得の課税を繰り延べるだけで、将来売却する際に課税されます。買換え資産の取得価額が譲渡資産の譲渡価額を下回る場合、差額分は課税対象となります。
相続空き家の3,000万円特別控除

相続空き家の3,000万円特別控除は、相続した空き家を売却する際に譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例です。相続空き家の3,000万円特別控除の適用条件は以下のとおりです。
- 相続開始から3年目の年末までに売却すること
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
- 相続開始時に被相続人が1人で居住していたこと
- 売却価格が1億円以下であること
相続人が複数いる場合は、各相続人がそれぞれ最大3,000万円(相続人が3人以上の場合は各2,000万円)まで控除を受けられます。空き家を取り壊して土地のみを売却する場合も相続空き家の3,000万円特別控除の適用が可能です。
譲渡損失の損益通算・繰越控除
譲渡損失の損益通算・繰越控除を活用し、不動産売却で出た赤字を給与所得などと通算することで、所得税や住民税を軽減できます。残った損失は最長3年間繰り越して税金を控除することが可能です。不動産売却による譲渡損失の損益通算・繰越控除の適用条件は以下のとおりです。
- 居住用財産の譲渡であること
- 売却した年の前年および前々年に同特例を受けていないこと
- 損失が生じた年に確定申告を行うこと
- 繰越控除を受ける年も引き続き確定申告を行うこと
- 売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること
譲渡損失の損益通算・繰越控除は給与所得との相殺に加え、住宅ローン控除とも併用できるため、税負担を大幅に軽減できます。
不動産売却の特例を使う際に知っておくべき注意点

不動産売却の特例を使う際の注意点は以下のとおりです。
- 特例の併用ができるものとできないものがある
- 住宅ローン控除との併用制限に注意する
- 適用期限・売却のタイミングによって使える特例は変わる
- 税金がゼロでも確定申告する必要がある
特例の併用ができるものとできないものがある
不動産売却の特例には併用できるものとできないものがあります。特例の併用可否は以下のとおりです。
| 併用可否 | 特例の組み合わせ |
| 併用可能 | 居住用財産の3,000万円特別控除と軽減税率の特例譲渡損失の損益通算・繰越控除、住宅ローン控除 |
| 条件付き併用可 | 居住用財産の3,000万円特別控除と相続空き家特例(同一年内の控除合計は3,000万円まで) |
| 併用不可 | 居住用財産の3,000万円特別控除と買換え特例 |
特例の併用制限は複雑なため、事前に税理士や不動産会社に相談することをおすすめします。
住宅ローン控除との併用制限に注意する

住宅ローン控除と不動産売却の特例には併用制限があります。住宅ローン控除と併用できない特例は以下のとおりです。
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 軽減税率の特例
- 買換え特例
上記の特例を新居に入居した年とその前2年・後3年(通算6年間)のいずれかで適用していると、住宅ローン控除は受けられません。どちらの制度が有利かは、売却益と新居の購入費用を総合的に比較して判断する必要があります。事前に税理士や不動産会社に相談して最適な選択をしましょう。
適用期限・売却のタイミングによって使える特例は変わる
不動産売却の特例は適用期限や売却のタイミングによって使えるものが変わります。特例の適用期限と売却タイミングは以下のとおりです。
| 特例の種類 | 適用期限・売却タイミング |
| 居住用財産の3,000万円特別控除 | 住まなくなってから3年目の年末までに売却すること |
| 軽減税率の特例 | 売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていること |
| 買換え特例 | 売却した年の前年および前々年に同特例を受けていないこと |
| 相続空き家特例 | 相続開始から3年目の年末までに売却すること |
| 譲渡損失の損益通算 | 損失が生じた年に確定申告を行うこと(繰越控除を受ける年も継続して確定申告が必要) |
適用期限を過ぎると特例の活用ができないため、不動産の売却計画を立てる際は注意が必要です。特例の適用期限を確認し、余裕を持って不動産の売却手続きを進めましょう。
税金がゼロでも確定申告する必要がある
不動産売却で特例を活用して税金がゼロになっても、確定申告は必要です。確定申告をしないと特例が適用されず、本来支払う必要のない税金が発生する可能性があります。不動産売却の際に確定申告が必要なケースは以下のとおりです。
- 居住用財産の3,000万円特別控除を適用する場合
- 軽減税率の特例を適用する場合
- 買換え特例を適用する場合
- 相続空き家特例を適用する場合
- 譲渡損失の損益通算を適用する場合
確定申告の期限は原則として売却した翌年の2月16日から3月15日までです。確定申告を忘れると延滞税や加算税が発生するため、期限内に手続きを行いましょう。
不動産売却の特例を受けるための確定申告の手続き

不動産売却の特例を受けるための確定申告の手続きや注意点を以下の項目に沿って解説します。
- 確定申告に必要な書類一覧
- 確定申告書を作成する流れ
- 確定申告時によくあるミスと対処法
確定申告に必要な書類一覧
不動産売却の特例を受けるためには、確定申告をする必要があります。確定申告に必要な書類は以下のとおりです。
- 確定申告書
- 譲渡所得の内訳書
- 売買契約書の写し
- 登記事項証明書
- 取得費の証明書類
- 譲渡費用の証明書類
- 本人確認書類
- マイナンバー確認書類
特例を受けるためには追加の書類が必要な場合があります。早めに不動産会社や税理士に相談し、必要書類の確認と準備を進めましょう。
確定申告書を作成する流れ

確定申告書を作成する流れは以下のとおりです。
- 国税庁の確定申告書等作成コーナーにアクセスする
- 必要事項を入力する
- 計算結果を確認する
- 申告書を印刷する
- 添付書類を準備する
確定申告書の作成は複雑なため、不安な場合は税理士に相談しましょう。確定申告書の作成は期限内に行う必要があるため、余裕を持って準備を進めてください。
» 国税庁「確定申告書等作成コーナー」(外部サイト)
確定申告時によくあるミスと対処法
確定申告時によくあるミスは以下のとおりです。
- 計算ミスや記入漏れ
- 必要書類の添付忘れ
- 申告期限の遅れ
- 特例の適用漏れ
- 取得費の計上漏れや過少計上
確定申告のミスを防ぐには税理士や不動産会社に相談し、申告内容に誤りがないか事前に確認を受けることが有効です。確定申告をした後にミスに気づいた場合は、速やかに対処しましょう。税額が少なかった場合は修正申告、税額を多く申告していた場合は更正の請求を行います。
不動産売却の特例に関するよくある質問

不動産売却の特例に関するよくある質問は以下のとおりです。
- 転勤で空き家になった自宅を売却する場合、特例は使える?
- 親族に売却しても特例は適用される?
- 特例の適用を受けるために税理士に依頼すべき?
転勤で空き家になった自宅を売却する場合、特例は使える?
転勤で空き家になった自宅を売却する場合でも、居住用財産の3,000万円特別控除を活用できます。転勤で空き家になった自宅を売却する場合の特例の適用条件は以下のとおりです。
- 住まなくなった日から数えて3年目の年末までに売却すること
- 売却した年の前年および前々年に同特例を受けていないこと
- 親族など特別な関係のない相手に売却すること
条件を満たせば転勤による空き家売却でも特例を利用できます。ただし、転勤先で新たに住宅を購入した場合は、住宅ローン控除との併用に制限があるため注意が必要です。転勤による空き家売却は、特例の適用可否が複雑な場合があります。個別の状況によって最適な選択が異なるため、税理士や税務署に相談することをおすすめします。
親族に売却しても特例は適用される?

配偶者や直系血族など、税法上「特別な関係がある者」に不動産を売却する場合、特例は適用されません。親族間の不動産売買は時価より低い価格で取引される可能性が高く、問題が生じる恐れがあるためです。不動産を親族に売却する場合の注意点は以下のとおりです。
- 時価で取引すること
- 売買契約書を作成すること
- 代金の支払いを確認すること
- 登記手続きを行うこと
親族に不動産を売却する場合は、税理士や不動産会社に相談して適切な手続きを行いましょう。
特例の適用を受けるために税理士に依頼すべき?
特例の適用を受けるために税理士に依頼するかどうかは、状況によって判断する必要があります。税理士に依頼するメリットは以下のとおりです。
- 複雑な税務処理を任せられる
- 特例の適用漏れを防げる
- 税務調査に対応できる
- 時間と手間を節約できる
税理士費用は、一般的に5〜15万円程度ですが、売却価格や依頼内容によって異なります。不動産売却の際に特例を受けるために税理士に依頼するかどうか悩んだ場合は、売却益の金額や特例の複雑さを考慮して判断しましょう。
不動産売却の特例を最大限活用して賢く節税しよう

不動産売却の特例を最大限活用するには、売却前に適用条件を確認することが重要です。不動産売却で使える5つの特例は以下のとおりです。
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 軽減税率の特例(所有10年超)
- 特定居住用財産の買換え特例
- 相続空き家の3,000万円特別控除
- 譲渡損失の損益通算・繰越控除
上記の特例を適用して税金がゼロになる場合でも必ず確定申告をしてください。確定申告を怠ると特例が無効となり、想定外の税負担が生じる恐れがあります。
特例には「併用できる組み合わせ」と「併用できない組み合わせ」があり、住宅ローン控除との併用制限もあります。特例の適用条件や併用制限は複雑なため、不安な場合は税理士や不動産会社に相談することをおすすめします。
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