個人で土地売買はできる?3つのリスクと手続きの流れ【トラブル事例も紹介】

- 土地を売却したいけど、不動産会社に依頼すると仲介手数料がかかる
- 個人で土地を売買できると聞いたけど、手続きやリスクが不安
- 個人売買で土地を売る場合の流れや注意点を知りたい
土地の売却を検討する際、仲介手数料を節約するために個人売買を考える方も多くいます。個人で土地売買を行うには専門知識が必要で、トラブルに発展するリスクもあるため注意が必要です。
この記事では、土地を個人で売買するメリットとデメリット、手続きの流れ、注意したいトラブル事例を解説します。記事を読めば土地の個人売買に関する正しい知識が身に付き、リスクを理解したうえで最適な売却方法を選択することが可能です。
土地の個人売買は仲介手数料がかからないメリットがある一方で、契約書作成や境界確認など専門知識が必要な場面も多くあります。土地の個人売買を検討する際は必要に応じて専門家のサポートを受けることを検討しましょう。
個人間の土地売買は法律上認められている

土地の個人売買は法律上認められており、不動産会社を介さずに売買契約を結ぶことが可能です。個人間の土地売買が可能な理由は、不動産業を規制する宅地建物取引業法が土地や建物などの反復継続的な取引に適用されるためです。個人が自分の土地を一度売却する程度であれば、原則宅建業の免許は必要ありません。
親族や知人への売却のほか、インターネット上で土地の買主を探すこともできます。ただし、土地の個人売買にはメリットとデメリットがあるため、状況に応じて適切な方法を選択することが重要です。
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土地を個人売買するメリット

土地を個人売買するメリットは以下のとおりです。
- 仲介手数料がかからずコストを抑えられる
- 売買条件やスケジュールを当事者同士で自由に決められる
仲介手数料がかからずコストを抑えられる
土地を個人売買する最大のメリットは不動産会社に支払う仲介手数料がかからない点です。不動産会社を通じて土地を売却する場合、仲介手数料の上限額は、売買価格の3%+6万円(税別)と定められています。例えば1,000万円の土地を売却する場合、仲介手数料の上限額は36万円(税別)となります。
個人での土地売買では仲介手数料がかからない分、売却価格を下げて買主にとって魅力的な条件を提示することも可能です。土地の個人売買は売主と買主の双方にとって金銭的なメリットがあります。
売買条件やスケジュールを当事者同士で自由に決められる
個人で土地売買を行う場合、売主と買主が直接交渉できるため、売買条件やスケジュールを自由に決められます。土地の個人売買では、以下の点で柔軟な対応が可能になります。
- 値引き交渉の相談ができる
- 引き渡し日を双方の都合に合わせて設定できる
- 支払い方法を柔軟に決められる
- 契約前に条件を調整できる
不動産会社を介さない個人売買では、土地の売主と買主の双方の希望を反映させやすくなります。当事者同士で直接やり取りができるため、土地の売主と買主の信頼関係を築きやすい点も、個人で土地売買をするメリットです。個人の土地売買は急ぎでの土地の売却や購入にも対応しやすく、取引の進め方を当事者同士で柔軟に調整することも可能です。
土地を個人売買するデメリットとリスク

土地を個人売買するデメリットとリスクは以下のとおりです。
- 適正価格の設定や契約書の作成に専門知識が求められる
- 契約不適合責任をすべて自分で負うリスクがある
- 買主が住宅ローンの審査に通りにくい
適正価格の設定や契約書の作成に専門知識が求められる
土地の個人売買では不動産会社のサポートがないため、売主自身がすべての手続きを行う必要があります。土地売買を個人で行う際には、特に以下の点で専門知識が求められます。
- 適正価格の設定
- 売買契約書の作成
- 境界の確定と測量
- 法的な手続き
土地に適正価格を設定するには周辺の取引事例や路線価、公示地価などを参考にする必要があります。しかし、個人で土地の正確な相場を把握することは難しく、安く売ってしまったり、高すぎて売れ残ってしまったりする恐れがあります。
土地の個人売買では売買契約書の作成もつまずきやすいポイントです。不動産会社を通す場合は宅地建物取引士が内容を確認し記名した契約書を使用しますが、土地の個人売買では自分で作成する必要があります。土地売買に関する契約書の内容に不備があると、後々のトラブルの原因になる可能性があるため注意が必要です。
個人で土地を売買する際は専門家に相談することをおすすめします。弁護士や司法書士、不動産鑑定士などの専門家に相談することで、適切な価格設定や契約書の作成が可能になります。
契約不適合責任をすべて自分で負うリスクがある

土地の個人売買では売主が契約不適合責任をすべて負うリスクがあります。契約不適合責任とは売買の目的物が種類・品質・数量に関して契約内容に適合しない場合に、売主が負う責任のことです。
土地の個人売買では売主が物件の状態を正確に把握し、買主に伝える必要があります。土地売買を個人で行う場合には、不動産会社による物件調査や重要事項説明がないためです。
土地を個人で売買した後に問題が見つかった場合、売主は修繕費用の負担や損害賠償を求められる可能性があります。契約不適合責任の期間は契約内容によって異なるため、土地の売却後も売主が一定期間リスクを負う場合があります。
買主が住宅ローンの審査に通りにくい
土地の個人売買では買主が住宅ローンの審査に通りにくい傾向があります。金融機関は個人間売買の取引に対して慎重な姿勢を取る場合があるためです。
土地の個人売買では以下の理由から住宅ローンの審査が厳しくなります。
- 重要事項説明書が交付されない
- 取引の透明性が低い
- 担保評価が低くなる
- 契約書の不備がある
金融機関によっては個人間売買を融資の対象外としている場合もあります。土地の個人売買で融資を受けられたとしても、審査に時間がかかり、取引がスムーズに進まない可能性もあります。
個人で土地売買を行う場合、買主が住宅ローンを組みづらく、結果として売却が成立しにくくなるリスクがある点に注意が必要です。
土地を個人売買する流れ

土地を個人売買する流れは以下のとおりです。
- 相場を調査し、境界を確認して売り出し価格を決める
- 買い手を探して条件を交渉する
- 売買契約書を作成し、手付金を受け取る
- 決済・引き渡し・所有権移転登記を行う
- 譲渡所得税を計算し、確定申告を行う
相場を調査し、境界を確認して売り出し価格を決める
土地の個人売買を成功させるためには、適正な売り出し価格を設定することが重要です。土地の個人売買では相場より高すぎる価格では買い手が見つかりにくく、安すぎると損をしてしまいます。
土地の個人売買では以下の方法で相場を確認できます。
- 不動産情報サイト
- 公示価格・基準地価
- 路線価(実勢価格の80%が目安)
- 固定資産税評価額(実勢価格の70%が目安)
土地の個人売買では境界の確認も重要です。境界が不明確なまま土地を売却すると、後々のトラブルにつながる可能性があります。土地の個人売買では境界標がない場合、土地家屋調査士に依頼して境界確定測量を行いましょう。
買い手を探して条件を交渉する

適正な売り出し価格が決まったら土地の買い手を探します。個人売買で土地の買い手を探す方法は以下のとおりです。
- 親族や知人に声をかける
- インターネットの個人売買サイトを利用する
- SNSで情報を発信する
- 現地に「売地」の看板を設置する
土地の買い手が見つかったら、売買価格や引き渡し時期、支払い方法などを話し合います。土地の個人売買では買い手との交渉をスムーズに進めるために、以下の点に注意が必要です。
- 土地の状態や法的制限を正直に伝える
- 価格交渉に備えて最低希望額を決めておく
- 交渉内容は書面で記録する
- 住宅ローンの利用有無を確認する
土地の個人売買では、買い手との交渉がまとまったら合意内容を書面に残しましょう。
売買契約書を作成し、手付金を受け取る
土地売買を個人で行う場合、買主との条件がまとまり次第、売買契約書を作成して手付金を受け取ります。売買契約書は土地の個人売買で取引の証拠になる重要な書類です。土地の個人売買では売買契約書に以下の内容を明記します。
- 売買代金
- 手付金の額
- 引き渡し日
- 契約解除の条件
- 契約不適合責任の範囲
土地の個人売買では売買契約書の作成後、買主から手付金を受け取ります。土地の個人売買における手付金は売買代金の5〜10%程度が一般的です。個人で土地売買を行う際に手付金を受け取ったら、必ず領収書を発行しましょう。
決済・引き渡し・所有権移転登記を行う

土地の個人売買では売買契約締結後、定めた期日に決済と引き渡しを行います。土地の個人売買で、決済と引き渡しの際に必要な手続きは以下のとおりです。
- 残代金の支払い
- 登記に必要な書類の確認
- 固定資産税の精算
- 土地の引き渡し
土地の個人売買では所有権移転登記に必要な書類を準備し、司法書士に依頼するか本人申請で登記手続きを行います。登記費用は買主が負担することが多いものの、個人売買では当事者間の話し合いで決められます。
固定資産税については売主と買主で話し合い、引き渡し日を基準に日割り計算で精算するケースが一般的です。
譲渡所得税を計算し、確定申告を行う
土地の個人売買で利益が出た場合は、譲渡所得税の申告と納税が必要です。土地の個人売買で発生した譲渡所得に税率を掛け算出した額を確定申告で納めます。譲渡所得は、以下の式で算出します。
譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用)
土地の個人売買では、取得費が不明な場合、売却価格の5%を取得費とみなす概算取得費を適用できます。
土地売買を個人で行う際の譲渡所得税の税率は所有期間によって異なります。土地の個人売買では所有期間が5年以下なら短期譲渡所得となり、税率は39.63%です。土地の個人売買で5年を超えて所有している場合は長期譲渡所得となり、税率は20.315%です。所有期間の判定は、譲渡した年の1月1日時点の所有期間を基準とします。
土地の個人売買に関する確定申告の期限は、原則として土地を売却した翌年の2月16日〜3月15日までと定められています。土地の個人売買では確定申告書類に加えて、売買契約書や登記事項証明書(登記簿謄本)などの添付書類も必要です。
土地の個人売買で必要な書類一覧

個人で土地売買を行うにはさまざまな書類が必要です。土地の個人売買で必要となる主な書類は以下のとおりです。
- 登記済証(権利証)または登記識別情報通知書
- 印鑑証明書
- 固定資産税評価証明書
- 住民票(登記簿上の住所と現住所が異なる場合)
- 本人確認書類
- 地積測量図・境界確認書
- 売買契約書
- 委任状(代理人が手続きを行う場合)
土地の個人売買では書類に不備があると手続きが遅れる恐れがあります。土地売買に関する書類は期限に余裕を持って準備しましょう。
土地の個人売買にかかる費用と税金
土地の個人売買では仲介手数料がかからない分、ほかの費用や税金が発生します。土地の個人売買にかかる費用と税金は以下のとおりです。
- 測量費用
- 登録免許税
- 司法書士への報酬
- 印紙税
- 譲渡所得税
測量費用は土地の面積や形状によって異なりますが、一般的に20~50万円程度かかります。個人で土地を売買する際の所有権移転登記の登録免許税は、原則として固定資産税評価額の2.0%です。ただし租税特別措置法による軽減措置で2029年3月31日までは1.5%が適用されます。
印紙税は売買代金に応じて変わるため、契約金額に応じた税額を確認しましょう。譲渡所得税の税率は所有期間によって異なり、長期譲渡所得は20.315%、短期譲渡所得は39.63%です。
土地の個人売買に発生しやすいトラブル事例

土地の個人売買で発生しやすいトラブル事例は以下のとおりです。
- 【トラブル1】売却後に「契約不適合責任」を問われる
- 【トラブル2】安すぎる価格で売り、買主に「贈与税」が発生する
- 【トラブル3】境界が不明確で隣人や買主と揉める
【トラブル1】売却後に「契約不適合責任」を問われる
契約不適合責任とは売買の目的物が種類・品質・数量に関して契約内容に適合しない場合に売主が負う責任です。土地の個人売買では以下のケースで契約不適合責任を問われることがあります。
- 土壌汚染や地中埋設物
- 売却後に汚染物質や古い建物の基礎などが見つかった場合
- 境界トラブル
- 隣地との境界が不明確で紛争が生じた場合
- 法的制限
- 建築制限や用途制限などの説明不足があった場合
- 地盤沈下や液状化リスク
- 売却後に契約締結時から存在していた地盤に関する問題が発覚した場合
土地の個人売買では契約不適合責任を免除する特約を付けられます。ただし、契約不適合責任を免除する特約に買主が納得しなければ、契約がまとまらない恐れがあります。
【トラブル2】安すぎる価格で売り、買主に「贈与税」が発生する

個人で土地売買をする際に相場よりも大幅に安い価格で売却すると、買主に贈与税が課税される可能性があります。土地の個人売買では不動産の売買価格が著しく低い場合、税務署は差額分を贈与とみなすことがあるからです。
土地の個人売買における贈与税(暦年課税)の基礎控除額は年間110万円です。個人で土地売買を行う際の贈与税の税率は10〜55%で、買主の負担が大きくなる恐れがあります。
土地の個人売買では親族間の取引や、早く売りたいという理由で安く売る場合は特に注意が必要です。適正な価格で取引することが、土地の個人売買における税務上のトラブルを防ぐために重要です。
【トラブル3】境界が不明確で隣人や買主と揉める
土地の個人売買では境界が不明確なまま売却すると、隣人や買主との間でトラブルに発展する可能性があります。土地の個人売買で境界が不明確だと、以下の問題が起こる恐れがあります。
- 隣地との境界線をめぐる争い
- 土地の面積をめぐるトラブル
- 建築確認の不適合
- 売買契約の解除や損害賠償請求
個人で土地を売買する際は境界トラブルを防ぐために、売却前に土地家屋調査士へ依頼しましょう。土地の個人売買では正確に境界確定測量を行うことで、隣接地の所有者と線引きを確認し、合意書を作成できます。
安心・確実に土地を売るなら「不動産会社への相談」がおすすめ

専門知識がないまま土地の個人売買を進めると、適正価格の設定ミスや契約書の不備などからトラブルに発展するリスクがあります。土地の個人売買に不安がある場合は不動産会社に相談しましょう。不動産会社に土地売買について相談するメリットは以下のとおりです。
- 適正価格での売却が期待できる
- 契約不適合責任のリスクを軽減できる
- 住宅ローン審査の手続きがスムーズに進みやすい
- 複雑な手続きを任せられる
- トラブル発生時にサポートを受けられる
不動産会社に相談すれば、価格設定や契約手続きの支援を受けながら土地の売却を進められます。土地の個人売買に少しでも不安がある場合は、早めに不動産会社へ相談しておくと安心です。
» 不動産売却の流れを完全ガイド|初心者でも失敗しない手順を解説
土地の個人売買はリスクを理解し、専門家の力も借りて進めよう

土地の個人売買は法律上認められており、仲介手数料を節約できる点がメリットです。しかし、土地の個人売買では適正価格の設定や契約書の作成、境界の確認など、専門的な知識も求められます。土地を個人売買する際には契約不適合責任を負う可能性があるほか、買主が住宅ローンを利用しにくい点に注意が必要です。
個人での土地売買に不安がある場合は、不動産会社に相談しましょう。煩雑な手続きや専門知識が必要な対応を不動産会社に任せられるため、売主は手間やリスクを軽減しながら土地の売却を進められます。
