不動産売買契約の流れを徹底解説!後悔しないための準備と注意点

不動産を売却しようと考えているものの「手続きが複雑そう」「契約で失敗したくない」と不安を感じていませんか?不動産売買契約は専門用語が多く、流れを理解していないと売却後にトラブルに発展することもあります。契約は一度締結すると簡単に取り消せないため、売主側こそ事前の知識と準備が欠かせません。

この記事では不動産売買契約の基本的な流れから、契約時に押さえておきたい注意点までわかりやすく解説します。記事を読めば不動産売買契約への不安が解消され、安心して不動産の売却を進められます。

早く売りたい人・確実に現金化したい人は、不動産売買契約の内容や手付金の扱いを正しく理解することが重要です。不動産売買契約の流れを把握しておけば売却後の後悔を防げます。

目次

不動産売買契約とは所有権移転と代金支払いの契約のこと

広いリビングルームを背景に、スーツ姿の人物の手から別の人物の開いた手のひらに、小さな家の模型が渡されている

不動産売買契約とは売主が所有する土地や建物の所有権を買主に譲渡し、買主が代金を支払うことを約束する契約です。高額な不動産取引でトラブルを防ぎ安心して取引を進めるためには、不動産売買契約が欠かせません。

契約内容は「不動産売買契約書」に記載され、売主と買主の双方が署名・捺印します。契約が成立すると買主は物件の引渡しと所有権の移転を請求する権利を得るとともに、代金支払いや契約条件を守る義務を負います。売主側に課される義務は不動産の引渡しや登記手続きの履行です。

不動産売買契約の流れ6ステップ

不動産売買契約の流れを検討するために、間取り図の上に置かれた精巧な戸建て住宅の模型

不動産売買契約の流れを理解しておくことで、契約当日に落ち着いて手続きを進められます。不動産売買契約の流れは以下のとおりです。

  1. 売主と買主の顔合わせと本人確認を行う
  2. 宅地建物取引士が買主に重要事項説明を行う(売主の同席を推奨)
  3. 売買契約書の読み合わせと署名・捺印をする
  4. 手付金を受け取る
  5. 買主の住宅ローン本審査の完了を確認する
  6. 残代金を受領し、物件を引渡して所有権を移転する

» 不動産売却の流れを完全ガイド|初心者でも失敗しない手順を解説

①売主と買主の顔合わせと本人確認を行う

売主と買主の顔合わせと本人確認は他人が勝手に契約するなどのなりすまし被害を防ぎ、安全に取引するために重要です。顔合わせと本人確認は不動産会社のオフィスで行われ、不動産会社の担当者が双方の本人確認書類を確かめます。

本人確認で必要なのは運転免許証やマイナンバーカードなどの顔写真付きの公的な身分証明書です。代理人が契約を行う場合は売主本人からの委任状と代理人自身の本人確認書類が必要なため、事前に準備しておきましょう。

宅地建物取引士が買主に重要事項説明を行う(売主の同席を推奨)

不動産売買に関する注意点や流れを、担当者から説明を受けている若い夫婦の様子

重要事項説明は不動産売買契約を結ぶ前に宅地建物取引士が買主へ物件や取引条件を説明する手続きです。売主は重要事項説明に同席しなくても構いませんが、契約後のトラブルを未然に防ぐためにも同席することをおすすめします。

重要事項説明に同席すれば、自分が不動産会社に伝えた物件の状況が買主へ正しく説明されているかを確認できます。買主から物件について質問があった場合、即座に返答することが可能です。重要事項説明に同席すると売主と買主の認識のズレがなくなるため、安心して取引を進められます。

重要事項説明は、物件状況報告書や付帯設備表の内容と説明が一致しているかを最終確認できる機会にもなります。契約後の「言った・言わない」といった問題を避け、買主に安心感を与えるためにも売主は重要事項説明に同席しましょう。
» 国土交通省「宅地建物取引業法 法令改正・解釈について – 別添3・重要事項説明の様式例」(外部サイト)
» 国土交通省「不動産の売買取引に係る「オンラインによる重要事項説明」(IT重説) の本格運用について」(外部サイト)

③売買契約書の読み合わせと署名・捺印をする

売買契約書を読み合わせて署名と捺印をすると、売主と買主の契約が正式に成立します。売買契約書は不動産売買のルールを定めた書類です。不動産売買契約後のトラブルを避けるために、事前に内容をしっかり理解しておきましょう。売買契約書の読み合わせの際に確認するポイントは以下のとおりです。

  • 物件情報
  • 代金・手付金・支払条件
  • 引渡し日・所有権移転時期
  • 契約不適合責任
  • 契約解除条項(ローン特約)
  • 付帯設備・物件状況

契約書が複数ある場合はすべての書類に署名と捺印(袋とじ部分への割印を含む)を行うと契約が完了します。

④手付金を受け取る

不動産売買契約書への署名と捺印が完了したら、契約が正式に結ばれた証として買主から手付金を受け取ります。手付金は売買代金の一部というだけでなく、万が一の契約解除に備える役割も果たします。売買代金の5~10%が手付金の目安で、現金または銀行振込で支払われることが一般的です。

事業として不動産を売却する場合は、金額に応じた収入印紙を貼った領収書を準備しましょう。個人がマイホームを売却する場合、収入印紙は不要です。手付金は「解約手付」と呼ばれる役割を担う場合が多くあります。解約手付とは相手方が契約の履行に着手するまでは、売主・買主のどちらからでも契約を解除できる仕組みです。

買主が契約を解除したい場合、支払った手付金は返金されません。売主が契約を解除したい場合は、受け取った手付金の2倍の金額を買主に支払います。受け取った手付金は物件の引き渡し時に支払われる売買代金の一部にあてられます。

⑤買主の住宅ローン本審査の完了を確認する

不動産売買における費用の計算や契約の流れを、電卓と間取り図を用いて顧客に説明する担当者

買主の住宅ローン本審査が通らない場合、売買契約は白紙解除になる可能性があります。多くの不動産売買契約には「ローン特約」という約束事が含まれているためです。ローン特約は買主が契約書の期日までにローンを組めなかった場合、ペナルティなしで契約を白紙解除できる規定です。

不動産売買契約が白紙解除になると、受け取っている手付金の全額を買主に返さなければなりません。住宅ローン本審査の結果は、不動産売買契約を結んでから1〜3週間ほどで不動産会社を通じて連絡があることが一般的です。審査が無事に承認されると「ローン承認通知書」が発行され、物件の残代金の決済と物件の引渡しに進みます。

⑥残代金を受領し、物件を引渡して所有権を移転する

残りの売買代金を受け取り、物件を引き渡して所有権を移転するまでの手続きを「決済」と呼びます。決済は売主と買主、司法書士、不動産会社の担当者が金融機関などで行う手続きです。決済当日の主な流れは以下のとおりです。

  1. 本人確認・書類チェック
  2. 残代金の受領
  3. ローン完済・抵当権抹消(売主にローン残債がある場合)
  4. 諸費用(固定資産税、都市計画税など)の精算
  5. 手数料・費用の支払い
  6. 鍵・書類の引渡し

すべての手続きが完了すると、司法書士が法務局へ所有権移転登記を申請します。所有権移転登記により買主は第三者に対して所有権を主張できるようになり、不動産売却手続きは完了します。
» 不動産の引き渡し時によくあるトラブルと対処法

不動産売買契約に必要なもの

不動産売買契約で後悔しないための準備、注意点をまとめたチェックリストと家の模型

売主としてスムーズに不動産売買契約・決済・引渡しを進めるためには、当日に必要となる書類を事前に把握しておく必要があります。不動産売買契約(契約・決済・引渡し時)で売主が用意するものは以下のとおりです。

  • 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
  • 実印
  • 印鑑証明書
  • 登記済権利証または登記識別情報通知
  • 固定資産税納税通知書や固定資産評価証明書
  • 建築確認済証や検査済証
  • 付帯設備表・物件状況報告書
  • 管理規約や長期修繕計画書など
  • 測量図や境界確認書など
  • 物件の鍵一式
  • 売買代金の振込先口座がわかるもの
  • 収入印紙代
  • 仲介手数料の半金

マンションの場合は管理規約や修繕積立金に関する資料を提出することも一般的です。契約時には買主から手付金を受け取るため、領収書の準備も忘れてはいけません。
» 初めての不動産売却|必要書類と集め方を初心者向けに解説

不動産売買契約を締結する際の注意点

不動産売買契約における後悔しないための注意点やリスクを示す、警告マークと白い家の模型

不動産売買契約を締結する際は以下の3点に注意が必要です。

  • 不動産売買契約書の内容をしっかり確認する
  • 手付金の取り扱いに注意する
  • 不動産売買契約の解除条件を理解する

不動産売買契約書の内容をしっかり確認する

不動産売買契約書には売却金額や受領方法、引渡し日、契約解除の条件、違約金の取り扱いなど、売主にとって重要な項目が細かく記載されています。一度署名・捺印すると法的拘束力が生じるため「聞いていなかった」という言い分は通用しません。

不動産売買契約書において、注意して確認すべきポイントは以下のとおりです。

  • 登記簿上の住所・氏名、土地や建物の面積が契約書と一致しているか
  • 売買代金の総額・手付金の金額・受領日が正しく記載されているか
  • 物件引渡し日・鍵の引渡し日が現実的なスケジュールで設定されているか
  • 契約不適合責任の範囲や期間が妥当か(どこまで責任を負うのか)
  • ローン特約がある場合は解除条件が売主に不利に働かないか
  • 固定資産税・管理費などの精算方法が明確に記載されているか
  • 口頭で合意した内容(残置物・設備修繕・境界等)が契約書に盛り込まれているか

少しでも不明点や不安がある場合は、遠慮せず不動産会社や宅地建物取引士に確認してください。内容を理解しないまま進めてしまうと、引渡し前後のトラブルや追加費用の発生につながる恐れがあります。

手付金の取り扱いに注意する

不動産売買にかかる費用の計算や、住宅ローンの返済計画に用いる白い電卓と家の模型

不動産売買契約では、契約締結時に買主から「手付金」を受け取ることが一般的です。手付金には「解約手付」としての性質があり、売主にとっても重要な意味を持ちます。買主が不動産売買契約を解除したい場合は、支払った手付金を放棄することで契約をやめられます。

一方で、売主が不動産売買契約を解除したい場合は、受け取った手付金の2倍の金額を買主に返還しなければなりません。売主側にとって大きな負担となるため、契約締結後のキャンセルには慎重な判断が必要です。

手付金による不動産売買契約の解除には「相手が契約の履行に着手するまで」という期限があります。何をもって履行に着手したとみなされるかはケースによって異なるため、不動産会社に確認しておくと安心です。

買主が住宅ローンを利用する場合、審査が通らなければ契約は白紙になる可能性があります。不動産売買契約前にローン特約の内容を把握し、トラブルを避けるためにも理解しておきましょう。

不動産売買契約の解除条件を理解する

不動産売買契約を結んだ後でも、一定の条件を満たせば契約を解除できる場合があります。買主が期日までに代金を支払わなかったり、必要な手続きを進めなかったりした場合は買主側の契約違反となり、売主が契約を解除できる可能性があります。

雨漏りやシロアリ被害など重大な欠陥がある場合、買主から契約不適合を理由に契約解除を求められることもあるため注意が必要です。

不動産売買契約においては、売主と買主の双方が話し合って納得する合意解除のケースもあります。不動産売買契約に署名・捺印する前に契約の解除条件を一つひとつ確認し、不明点は不動産会社などに質問してください。

不動産売買契約のポイント

青い空を背景に、青い外壁の二階建て住宅の模型が、虫眼鏡によって大きく拡大されている

不動産売買契約を成功させるためには以下の2点を意識しましょう。

  • 信頼できる地元不動産会社を選定する
  • 地元の市場相場や法務手続きを理解する

信頼できる地元不動産会社を選定する

地元に根ざした不動産会社は地域の相場や土地の特徴、行政の動きなどに詳しい点が強みです。地域密着型の不動産会社を選べば、周辺環境や利便性、将来的な開発計画なども踏まえて具体的な提案をしてくれます。不動産会社を選ぶ際は担当者の対応や説明の丁寧さ、過去の実績、口コミや評判も参考にしましょう。

信頼できる不動産会社を見分けるには、不動産売買の取引実績が豊富かどうかも重要なポイントです。複雑な不動産売買契約を安心して進めるためには複数の会社を比較し、信頼できるパートナーを見つけましょう。

地元の市場相場や法務手続きを理解する

地元の市場相場を把握していないと、相場より安く売却するリスクがあります。国の土地総合情報システムや不動産情報サイトでは、類似物件がいくらで取引されたか確認が可能です。人気エリアの価格を知っておくと、物件価格の妥当性を判断しやすくなります。
» 家の売却相場を決定する要因と高く売るためのポイントを解説!

家の持ち主が変わったことを記録する所有権移転登記などの法的な手続きは、買主が依頼した司法書士が代理で申請することが一般的です。売主側は司法書士に対して、抵当権抹消登記や住所変更登記などの手続きを依頼することになります。司法書士への依頼費用や登記費用がどれくらいか確認しておきましょう。

事前に地元の市場相場や手続きの流れ・費用を把握しておくと、安心して不動産売買契約を進められます。

不動産売買契約に関するよくある質問

不動産売買契約に関するよくある質問を象徴する、手のひらの上の家の模型と疑問符

不動産売買契約でよくある以下の質問に回答します。

  • 不動産売買契約締結から引渡しまでの期間は?
  • 手付金は契約時に現金で支払うべき?
  • 不動産売買契約をキャンセルする方法は?

不動産売買契約締結から引渡しまでの期間は?

不動産売買契約を締結してから物件を引き渡すまでの期間は、一般的に1〜2か月程度です。ただし、買主が住宅ローンを利用している場合は、本審査や融資実行のスケジュールに左右され、2〜3か月ほどかかることもあります。一方、現金一括で購入する買主であれば、2週間〜1か月程度で引渡しが完了するケースもあります。

買取業者による不動産買取の場合はローン審査が不要なため、契約から引渡しまでの期間が短く、売主の希望に合わせて早期に手続きが完了するケースもあります。急ぎの不動産売却を希望する場合は、仲介よりも買取のほうがスケジュール面で有利です。

買主の都合で契約が解除になるのはどのような場合?

不動産売買契約の流れで、必要書類に署名・捺印を行い手付金を支払う場面

不動産売買で買主の都合による契約解除が認められるのは、主に契約書に定められた以下の特約による場合です。

  • 手付解除
  • 住宅ローン特約
  • 買換え特約
  • 債務不履行

手付解除とは買主が支払った手付金を放棄して契約を解除することです。買換え特約とは買主が自宅の売却に成功した場合のみ新居購入の契約を有効とし、売却できなければ白紙解除できる特約です。

買主の事情(転勤・家族の同意が得られないなど)で一方的に解除することもできます。しかし、買主の事情で一方的に解除する場合は違約解除となり、手付金の放棄や損害賠償が発生する可能性があります。

売却後に不具合が見つかった場合の責任はどうなる?

売却した家に契約内容に適合しない不具合が見つかった場合、売主は「契約不適合責任」を負います。契約不適合責任は雨漏りやシロアリの被害などの問題があった場合、買主を守るために売主が責任を負う仕組みです。不動産売却後に物件で不具合が見つかった場合、買主から以下の要求を求められる可能性があります。

  • 追完請求(修補や代替物の引渡しなどを求める権利)
  • 代金減額請求
  • 損害賠償請求
  • 契約の解除

個人の間で家を売買する場合、責任を負う期間を契約書で決めることが一般的です。物件の売主が不具合の存在を知っていたにも関わらず買主に伝えなかった場合は、契約書で決めた期間を過ぎても責任を問われる場合があります。売却後のトラブルを避けるためにも、物件の状態は正直に伝えましょう。

不動産会社が直接家を買い取る「買取」では、契約不適合責任が免除されるケースが多くあります。物件の売却後に不具合が見つからないか心配な方は買取を検討しましょう。

仕組みを知り後悔しない不動産売買契約を結ぼう

不動産売買契約が成立し、後悔しないための準備が完了したことを確認し合う握手の瞬間

不動産売買契約は、所有権の移転や代金の受け取り方法などを定める重要な契約です。後悔のない売却を行うためには、契約内容や手続きの流れ、注意点を事前に把握しておくことが欠かせません。本記事で解説した契約の流れや必要書類、手付金の扱い、契約解除の条件を理解しておけば、安心して売却手続きを進められます。

不動産売買契約では地元に詳しい不動産会社と信頼関係を築くことが成功への近道です。契約の仕組みを正しく理解し、信頼できるパートナーと協力することで、スムーズで満足度の高い不動産売却を実現できます。

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この記事の監修者

山本 祥宏のアバター 山本 祥宏 株式会社komorebi 代表取締役社長

売買・投資用不動産・賃貸仲介などを経験。数字や条件だけでなく、お客様一人ひとりの背景や将来設計を踏まえた提案、そして「相談してよかった」と思っていただける関係づくりを大切にしています。

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