空き家の処分方法4選!放置するリスクと処分にかかる費用【使える税制優遇を解説】

- どうやって空き家を処分すればいいのかわからない
- 空き家の維持費や税金の負担が年々大きくなっている
- 放置した空き家の老朽化が進み、早く処分しなければと焦っている
実家を相続したものの、処分の方法がわからずに空き家の状態で放置する人が多くいます。空き家を処分せずに放置し続けると、行政指導や近隣からの苦情など思わぬトラブルの原因となる可能性があるため注意が必要です。
この記事では空き家を放置するリスクや具体的な処分方法、処分にかかる費用や税金を解説します。記事を読めば自身の状況に合った空き家の処分方法がわかります。
空き家の処分を成功させる鍵は複数の不動産会社に査定を依頼し、建物と土地の価値を正確に知ることです。空き家の建物自体には価値がなくても、土地には十分な資産価値が残っている場合があります。立地条件によっては解体費用を差し引いても、空き家の処分後に利益が残るケースもあります。
空き家の価値を理解し、売却や買取など最も有利な条件で処分できる方法を選びましょう。
空き家を放置せずに処分した方が良い理由

空き家を放置せずに処分した方が良い理由は以下のとおりです。
- 空き家の固定資産税や管理費などの経済的負担がかかる
- 空き家が老朽化して倒壊するリスクが上がる
- 近隣トラブルや行政指導のリスクがある
空き家を処分しないと将来的により大きな負担となる可能性があるため、早期の対処が必要です。
» 空き家放置で増える税金とリスクの解決策3選と相談先
空き家の固定資産税や管理費などの経済的負担がかかる
空き家を処分せずに所有しているだけで、固定資産税や管理費といった経済的な負担が継続的に発生します。空き家を処分しないと発生する費用は以下のとおりです。
- 固定資産税・都市計画税
- 定期的な管理費用
- 水道・電気の基本料金、火災保険料
空き家の維持費は一つひとつが小さくても、積み重なると大きな負担になるため注意が必要です。
» 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」(外部サイト)
空き家が老朽化して倒壊するリスクが上がる

空き家は定期的な換気や手入れがされないため、処分せずにいると思った以上に建物が早く傷んでしまいます。建物の劣化は単に見た目が悪くなるだけでなく、空き家が持つ資産価値を大きく下げる原因にもなるため注意が必要です。
空き家を放置すると雨漏りやシロアリ被害の他にも、害虫やネズミが発生して資産価値を大きく下げる可能性もあります。地震や台風で建物が倒壊して周囲の建築物や人に被害を与えてしまうケースもあるため、老朽化した空き家は早めに処分を検討しましょう。
近隣トラブルや行政指導のリスクがある
処分されず放置されている空き家は、周辺の景観や住環境を悪化させるだけでなく、安全上の問題を引き起こす原因にもなります。空き家を処分せずに放置すると発生するトラブルは以下のとおりです。
- 雑草や庭木が伸び放題になり近隣の日当たりを妨げる
- ゴミの不法投棄場所になり悪臭や衛生問題の原因となる
- 不審者の侵入や放火など犯罪が起こりやすくなり地域の治安を悪化させる
長期間放置されて危険な状態の空き家は、行政から処分するよう助言や指導を受ける場合があります。行政の命令に従わず最終的に空き家が強制的に解体処分された場合、解体費用を請求される事例もあるため注意が必要です。
» 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」(外部サイト)
空き家を処分する主な方法4選

空き家を処分する主な方法は以下の4つです。
- 不動産会社を通じて空き家を売却処分する
- 空き家の建物を解体して更地として処分する
- 自治体への登録・譲渡を活用する
- 相続土地国庫帰属制度を利用して空き家の土地を国に返還する
不動産会社を通じて空き家を売却処分する
不動産会社を通じて空き家を売却する方法は買主を探してもらう「仲介」と、直接物件を買い取ってもらう「買取」があります。仲介と買取のメリットとデメリットは以下のとおりです。
| 売却方法 | メリット | デメリット | 向いている空き家 |
| 仲介 | 市場価格に近い価格で売れる可能性がある | 内覧対応や広告活動など手間が多い | 築年数が浅く立地が良好で買主が見つかりやすい空き家 |
| 買取 | 短期間で現金化しやすい | 仲介に比べて売却価格が低くなる傾向がある | 築年数が古く修繕・管理が必要な空き家 |
空き家を処分してすぐに現金化したい場合は買取、時間がかかっても好条件で取引したいときは仲介が向いています。
» 不動産売却の流れを完全ガイド|初心者でも失敗しない手順を解説
空き家の建物を解体して更地として処分する

古い空き家を取り壊して更地の状態で売却処分する方法も有効な選択肢です。立地が良い空き家の場合は買い手が見つかりやすくなります。
木造の空き家の場合、解体費用は1坪あたり4〜5万円程度が相場です。空き家を解体した後は1か月以内に法務局への申請(建物滅失登記)が必要になります。空き家の解体費用と売却後に得られる金額を比較し、どちらがよりお得になるかを見極めて更地にするかどうかを判断しましょう。
» 法務局「建物を取り壊した/建物を新築した」(外部サイト)
自治体への登録・譲渡を活用する
自治体が設けている空き家活用制度(※1)を利用すれば、地方移住者や地域の事業者など別の層に紹介できる可能性があります。ただし、自治体への寄附が認められる空き家は、公共利用や地域活性化に役立つなど、厳しい条件を満たす場合に限られます。
自治体への登録・譲渡は不要な空き家を処分してもらう制度ではなく、地域貢献を目的とした特例措置だと覚えておきましょう。
※1 空き家活用制度とは、空き家の活用を支援するための国や自治体が設ける制度の総称です。
相続土地国庫帰属制度を利用して空き家の土地を国に返還する
相続土地国庫帰属制度は売却が極めて難しい空き家を所有している場合の最終手段として、国に引き取ってもらえる制度です。ただし、相続土地国庫帰属制度を利用できる空き家には厳しい条件があるため、申請前に以下の内容をよく確認しておきましょう。
- 建物が建っていない更地であること(空き家は解体が必要)
- 空き家に抵当権などの担保が設定されていないこと
- 空き家と隣地との境界が明確で所有者や権利関係に争いがないこと
- 空き家に土壌汚染や埋設物などがなく安全に管理できる状態であること
相続土地国庫帰属制度の申請には土地一筆あたり14,000円の審査手数料と、10年分の土地管理費相当額の負担金が必要です。
» 法務省「相続土地国庫帰属制度について」(外部サイト)
空き家の処分を成功させるポイント4選

空き家の処分を成功させるポイントは以下の4点です。
- 空き家の適正な売却価格を見極める
- 複数の不動産会社から見積もりを取る
- 空き家のリフォームや解体のタイミングを判断する
- 空き家の相続手続きや名義変更を完了させる
空き家の適正な売却価格を見極める
空き家の相場を知らないまま査定を受けると、提示された金額の妥当性を判断できず、結果的に損をしてしまう可能性があります。空き家の相場を調べる方法は以下のとおりです。
- 不動産ポータルサイトを活用する
- 国土交通省の公式サイトを活用する
- 公的機関が公表する土地価格を参照する
空き家の相場を大まかにでも理解しておけば、不動産会社から提示される空き家の査定額を客観的に判断できます。
複数の不動産会社から見積もりを取る

空き家を売却して処分する際は、複数の不動産会社に査定を依頼する方法がおすすめです。1社のみの見積もりでは市場相場を正確に把握できないため、複数社を比較することで適正な価格で空き家を売却できます。不動産一括査定サイトを利用すれば、複数の不動産会社にまとめて空き家の査定を依頼可能です。
不動産会社を選ぶ際は査定額の高さだけでなく、各社の販売実績や得意なエリア、査定の根拠なども含めて総合的に判断しましょう。
» 不動産売却の理由は価格に影響する?伝える範囲とポイント
空き家のリフォームや解体のタイミングを判断する
空き家を売却するときにリフォームと解体のどちらを選ぶかは、建物の状態や立地、法的な条件などによって異なります。空き家を解体するか売却するかを判断する際の基準は以下のとおりです。
| 状況 | 解体を検討するケース | 売却を検討するケース |
| 建物の劣化 | 雨漏りやシロアリ被害など構造に不安がある状態 | 補修で空き家の価値改善が可能な状態 |
| 土地の価値 | 土地自体に価値はあるが建物の価値がほとんどない状態 | 土地・建物ともに需要が期待できる状態 |
空き家を解体するタイミングに決まりはありません。ただし、空き家の放置期間が長くなるほど状態が悪化し、結果的に費用がかさむため、早期処分がおすすめです。
空き家の相続手続きや名義変更を完了させる
空き家を売却するには持ち主を相続人の名義へ変更する手続きである相続登記が必要です。2024年4月1日から相続登記は義務となり、不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。相続登記の流れは以下のとおりです。
- 相続人の確定
- 遺産分割協議
- 法務局へ名義変更の申請
相続登記は必要書類が多く複雑なため、司法書士などの専門家へ依頼する方法が一般的です。空き家の相続登記を怠ると10万円以下の過料が科される可能性もあるため注意してください。空き家の処分を円滑に進めるためにも、相続登記と名義変更は必ず済ませておきましょう。
» 法務局「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ」(外部サイト)
空き家の処分にかかる費用

空き家の処分にかかる費用は以下のとおりです。
- 家財処分費用
- 空き家の解体費用
- その他の費用
- 空き家売却時の税金(譲渡所得税・印紙税)
家財処分費用
空き家の家財一式や残置物を業者に依頼して処分してもらう場合の料金相場は10〜30万円程度です。空き家の家財処分費用を立方メートルあたりで見積もる場合は、1㎥あたり7,000〜15,000円程度を目安とするケースもあります。
長年放置されて状態が悪い空き家の場合には、倒壊のリスクなども考慮されるため家財処分費用は50〜100万円を超える場合もあります。空き家の家財処分は業者によって費用の差が大きいため、事前に複数の業者へ見積もりを依頼しておくことがおすすめです。
空き家の解体費用

空き家の解体費用は建物の構造や立地条件によって変動します。空き家の1坪あたりの解体費用の相場は以下のとおりです。
- 木造住宅:4〜5万円
- 鉄骨造住宅:6〜7万円
- 鉄筋コンクリート造(RC造):7〜8万円
空き家の庭木や石、カーポートなどを処分する場合は、別途追加費用が発生します。重機が入れない狭い立地やアスベスト除去が必要な古い空き家では、通常より解体費用が高くなる傾向にあります。
その他の費用
空き家の処分には解体費用や家財処分料以外にも複数の付帯費用が発生します。空き家の処分に伴い発生するその他の費用は以下のとおりです。
| 項目 | 概要 | 目安 |
| 境界確定測量 | 筆界確認・境界標設置 | 20〜60万円 |
| 滅失登記 | 解体後の建物登記抹消 | 自己申請:無料(書類取得費用として1,000〜3,000円) 専門家に依頼:4〜5万円 |
| ライフライン撤去 | 水道・ガス・電気の閉栓・撤去 | 数千〜数万円 |
| 外構・庭木撤去 | ブロック塀・樹木・物置等 | 5〜30万円 |
| クリーニング・害虫駆除 | 引渡し前の衛生対策 | 数万〜十数万円 |
空き家売却時の税金(譲渡所得税・印紙税)
空き家を売却して処分する際には譲渡所得税と印紙税という2種類の税金がかかります。譲渡所得税と印紙税の概要は以下のとおりです。
- 譲渡所得税
- 譲渡所得税は空き家の売却額から取得費や譲渡費用を差し引いた利益に対する税を指します。利益が出なければ譲渡所得税は課されません。空き家の所有期間(譲渡した年の1月1日時点で判定)によって譲渡所得税が異なります。所有期間が5年以下は約39%、5年超は約20%が課税額の目安となります。
- 印紙税
- 印紙税は不動産の売買契約書に貼る収入印紙で納める税金です。空き家の売却価格が高いほど印紙税の額も上がります。2027年3月31日まで軽減税率が適用され、500万円超〜1億円以下の契約では5,000〜30,000円の印紙税がかかります。
空き家の処分時に使える税制優遇

空き家の処分時に使える税制優遇について、以下の項目を解説します。
- 空き家特例・低未利用地控除などの節税制度
- 自治体で使える補助金・助成金
空き家特例・低未利用地控除などの節税制度
空き家や活用していない土地を売却する際には、税金の負担を軽くできる特別な制度を利用できます。空き家を売却して処分する際に利用できる代表的な節税制度は以下のとおりです。
| 特例名 | 控除・加算額 | 主な適用要件 |
| 空き家特例(※2) | 譲渡所得から3,000万円(2024年以降、相続人が3人以上の場合は2,000万円)を控除 | 被相続人が居住していた家屋を相続し、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却など |
| 低未利用地控除(※3) | 長期譲渡所得から最大100万円を控除 | 都市計画区域内の低未利用土地等、譲渡価格が一定額以下 |
空き家を処分するときに活用できる節税制度は条件が複雑な場合も多いため、税理士や税務署への相談をおすすめします。
» 国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」(外部サイト)
» 国税庁「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」(外部サイト)
※2 空き家特例とは、相続で取得した空き家を一定要件を満たして売却した際に譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる制度です。
※3 低未利用地控除とは、利用可能でありながら長期間活用されていない土地を売却した場合、譲渡所得から一定額を控除できる特例制度です。
自治体で使える補助金・助成金
多くの自治体では空き家の増加による景観の悪化や防災上の危険を防ぐため、建物を解体する費用の一部を支援しています。自治体で用意している空き家の処分に使える補助金や助成金は以下のとおりです。
- 古くなって倒壊の恐れがある建物の解体費用
- 売却・再利用を目的としたリフォーム費用
- 残置物の片付け費用
- 危険なブロック塀の撤去費用
空き家の処分に使える補助金や助成金は自治体によって異なります。事前に自治体の公式サイトや窓口で空き家の処分に使える補助金や助成金の情報を確認しておきましょう。
空き家は放置せずに最適な方法で処分しよう

空き家を処分せずに放置すると維持費が増えるだけでなく、老朽化による倒壊など思わぬトラブルを招く恐れがあります。
空き家を処分せずに放置し続けると行政から解体命令が出る場合があります。解体命令を無視すると行政により空き家を強制的に解体され、処分にかかった費用を請求されるケースもあるため注意が必要です。
空き家の処分には売却のほかに国や自治体への譲渡などさまざまな方法があり、立地や建物の状態によって選択肢は異なります。空き家の処分で判断に迷う場合、不動産売買のエキスパートである不動産会社に相談し、現状に合った最適な方法を提案してもらいましょう。
